死亡事故における過失割合
交通死亡事故における過失割合の考え方
死亡事故が発生した時に、自動車を運転していたドライバーは加害者という立場になります。もちろんドライバーの前方不注意などが原因で、落ち度のない歩行者や自転車とぶつかってしまったのならば、適切な損害賠償金を保険会社を通じて支払わなくてはなりません。しかし、被害者にも過失があったと判断されることがあり、その過失割合によって支払われる損害賠償金額が変わってきます。たとえば被害者が死亡していたとしても、歩行者が交通違反をして横断歩道以外を飛び出して渡ったとすれば被害者にも責任があると考えられ、状況に応じて数十パーセントの過失割合が認定されることがあります。加害者側も自動車が破損していたり、ケガを負ったりして損害を被っているわけですから、損害賠償額の中で相殺をすることになります。ただし死亡した被害者の方が損害は大きいので金額としてはケタが一つ違うほどの差が生まれますが、過失割合によって金額が多少は調整されます。
過失割合が決定する前に死亡事故の原因を調査
死亡事故の場合、被害者が事故の状況を語ることができず、加害者が一方的に証言をすることになります。もちろん、事故発生時に警察官が実況見分をしていますので、その証言が正しいかを判断することは可能ですが、やはり被害者側の意見が全く取り入れられないのは不利な状況となります。そのまま過失割合が決定されてしまったのでは遺族感情として厳しいものがありますので、可能な限り証拠や証言を集めることが大切です。家族を失った悲しみにくれている状況の中で調査を行うのは大変ですが、死亡事故が発生した場所をいつまでも保存しておくことはできませんし、目撃者の記憶も薄らいでいってしまいますので早急に行動を開始する必要があります。具体的には第三者が事故を目撃していないかを探します。加害者と被害者に利害のない第三者の証言はとても重要なものであり、事故の状況を明らかにすることができます。また、事故現場に落ちているガラスの飛散状況や血痕だけでなく、周囲の状況を撮影しておくとともに当日の天候なども記録をしておきます。
死亡事故形態による過失割合の判断
死亡事故の形態は様々であり自動車同士の衝突ということもあれば、歩行者や自転車そしてバイクを自動車がはねてしまったというケースもあります。それぞれの形態によって過失割合が変わってきますので、これまでの判例なども含めてある程度の過失割合を調べることができます。ただし自動車のドライバーが無免許や飲酒運転である場合は重過失となり、刑事責任も大きく問われることになりますので過失割合も変更されます。まず自動車が歩行者をはねてしまった場合、どこで事故が発生したかが重要となります。スクールゾーンや細い路地などで安全を意識することなく事故を起こしたのでは言語道断ですが、幹線道路ではある程度の早いスピードで走行しているため、横断歩道でもない場所からの歩行者の急な飛び出しは避ける事が難しく、過失割合が考慮されることになります。自動車と自転車の場合は、自転車が飲酒運転をしていたり、夜間に無灯火であったりすると被害者側にも責任があると判断されることがあります。