死亡事故の加害者に課される刑事責任
死亡事故を起こした加害者の罪状と刑罰
自動車を運転していると、急な飛び出しに遭遇したり、悪天候の日に視界が不鮮明であったりと様々な危険が伴います。運転に集中していたとしても事故を引き起こしてしまった場合、ドライバーは加害者として刑事責任を負わなくてはなりません。特に被害者の打ちどころが悪く死亡事故となってしまった場合は、刑罰の内容がかなり重くなってしまうケースもあります。具体的な罪状と刑罰ですが、通常の運転をしていたものの故意にもしくは過失で被害者を死亡させてしまった場合は過失運転致死傷罪となり7年以下の懲役もしくは禁錮そして100万円以下の罰金という量刑となります。賠償金や示談金などは保険会社が交渉に当たってくれますが、民事裁判だけでなく刑事裁判も開かれることになります。次にスピードを出しすぎていたり、明らかに危険な運転をしていた場合は危険運転致死傷罪となり1年以上の有期懲役と定められており、事故の内容によっては長期に渡る懲役刑を言い渡される可能性があります。
飲酒運転で死亡事故を起こした場合の刑事責任
正常な状態で危険運転をしていただけでも懲役刑となる可能性が高い上に、飲酒をして酩酊状態で自動車を運転しているとなれば量刑がさらに重くなることは間違いありません。全国各地で複数の死亡事故の被害者を出してしまうような重大事故が発生しており、世論感情としては厳罰化が求められている状態です。死亡事故を起こしていなくても酒酔い運転は5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金という刑事責任を負うことになりますし、アルコールの血中濃度によって酒気帯び運転の量刑が変わってきます。ドライバーが飲酒をしていることを知った上で助手席に乗った人も刑事責任が問われます。飲酒運転で死亡事故を起こすと、酒酔い運転と過失運転致死傷罪の2つが併合されて懲役12年が課されてしまうケースもあります。さらに無免許状態で飲酒をし死亡事故を引き起こしながら、被害者を救出することなくひき逃げをすると悪質と見做されて、危険運転致死罪との併合となり無期懲役刑に近いような量刑が言い渡されることもあるのです。
死亡事故を起こした加害者が収容される交通刑務所
死亡事故を引き起こしたドライバーは刑事裁判の結果、交通刑務所へ収容されることがあります。これまでは善良な市民として真っ当に生活していたとしても、少しの気の緩みと油断によって刑務所へ入らなくてはならないのです。しかし、殺人や強盗そして詐欺など意図的に犯罪を行っている凶悪な受刑者と、前科前歴の全くない人が一緒に生活していくことは難しいので交通刑務所という仕組みがあるのです。ここでは刑罰を受けるというよりも、被害者に対して冥福を祈るとともに交通安全に関する指導を徹底的に受けることになります。そのため一般的な刑務所よりも処遇は開放的であることが特徴です。もちろん刑務作業は行いますし規則正しい生活をしなくてはなりませんが、交通関係の改善指導を受けるといった時間も設けられています。交通刑務所であっても出所後の就職は難しくなるため、就労支援など今後の生活設計を手助けするようなプログラムも組み込まれています。